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事業のコンプライアンス

  世の中は、日々進化しています。その進化に歩調を合わせて、私達の日常生活でもこれまで、目をつぶってもらってきたことも許されなくなってきているという現実があります。例えば交通規則一つとっても、20年前は「ゆるい」時代で、それこそ、朝車で通勤してくる人のうちに酒好きがいれば、結構アルコールの匂いをプンプンさせて出社する人もいた時代でした。一方、現在は、運転中にうっかり携帯電話を受信して、電話受けした所をパトロール中の警察官に目撃されれば、“一発免停”になるほど交通法規制が厳しくなってきています。最近でいう“あおり運転”もちょっと前までは、結構見かける状況であったといえますが、今はすぐに逮捕に至る行為といえます。このように、時代の進化が私たちの日常生活にコンプライアンス(法令遵守)を求めてきています。事業についてもしかりです。
今日、経営コンサルタントの仕事の多くの割合で、事業のコンプライアンス上の対応のアドバイスをしているのが実状です。
建設業の有期事業である工事現場での施工管理を例にとりましょう。ご承知かと思いますが、建設業は発注者との間で、工事請負契約書を締結して、発注者と契約した元請会社からそれらの工事を各専門工事業者の工事範囲に分割して、工事を注文して、注文書注文請書を締結します。当たり前のように感じるとは思いますが、発注者と元請の間で、工事追加変更分の契約がなされていないとか、元請と下請の間での少額工事(数万円~数十万円)では、注文書注文請書が取り交わされていないといったことは、建設業界ではこれまで日常茶飯事でした。昔でいう『どんぶり勘定』であり、これらはいずれも、工事金額の不払いに繋がりうるといえます。建設業法では、1円以上、つまり工事の実態があれば、契約締結が必須になっています。また、下請けとされる専門業者に監督官庁である国土交通省から求められるのは、作業員全員の社会保険加入と工事発注者による、社会保険料である法定福利費の見積書提出時の明記です。社会保険料というのは、通常、半額は本人負担であり、残りの半額は会社負担となり、経営者からすれば、雇用による直接並びに間接人件費の総額が1015%上がることになります。また、雇用される作業員からすれば、本人負担分である保険料の1/2相当額が“減額”されるような気持ちになることから、これまで社会保険未加入といった作業員は相当数存在していました。しかし、そのような状況を鑑み、社会保険の適正加入により、国民福祉の充実、社会保険制度の浸透を図る意味で、下請けである専門工事業者の社会保険加入は、工事受注条件というのが定着しつつあります。つまり、社会保険未加入という“アウトロー”は排除されることになるということです。
 また、工事現場から出る産業廃棄物の処理ですが、不法投棄防止という意味で、廃棄物処理法で処理手続きのルールをあります。つまり排出事業者である工事業者→収集運搬業者→中間処理業者→最終処分業者に至るまで、全てのプロセスについて、マニュフェスト伝票に日付押印して、最遅でも180日以内に、これらの全てのマニュフェスト伝票を排出事業者の元に捺印して返送することが法令で定めれられています。ちょっと厄介な事務手続きに見えますが、最近では電子マニュフェストにより、書類の返送といった事務手続きの簡素化が進んでいる都道府県もあります。そして、これらの各運搬・中間処理・最終処分の各業者に都道府県の認可を受けている必要があり、また、排出前の産業廃棄物は場内に60cm×60cm以上の保管する産業廃棄物の種類や管理責任者等を明記した看板を固定するといった保管ルールがあり、また最近では水銀を含んだ製品は、他の産業廃棄物と区分して専門業者に排出するといった明確なルールもあります。同じ環境配慮といった観点では、フロン排出抑制で、現場事務所に設置する業務用のエアコン等も容量によって管理区分があるものの小容量のエアコンでも、3か月に一回の自主点検義務があるなど、環境法による規制が明確になってきています。
 最近、オリンピック組織委員会の会長辞任要否を巡って、「ジェンダー」の問題が取り沙汰されましたが、工事現場でも女性の進出が進んできており、女性用の仮設トイレの設置を行う所も増えてきました。つまり、工事現場が男女の分け隔てなく働ける場とするためです。これはいわゆる法規制というもではなく、広い意味でのコンプライアンス(守るべきこと)と言えます。更には、国際的にも提唱されている、差別・貧困他17のゴールを持つSDGs(エスディージーズ)への取組を積極的に行う工事業者も増えていきています。分かりやすく、工事現場での建設業の有期事業を取り上げましたが、これらは製造業でもサービス業でもあらゆる事業において、適用される法規制等に若干の相違はあっても同様な状況にあります。事業の売上や利益を目指すのは当然としても、今日では、それらの前提に『事業のコンプライアンス』があります。その意味で、当社の事業上、コンプライアンス(法令遵守・まもるべきこと)の抜け落ちがないかを再点検する必要があります。

以 上