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マネジメントシステム

 「マネジメントシステム」といえば、ISOを思いうかべる方が多いと思います。ISOは1990年代の初頭から日本では大企業を中心に認証取得がスタートしました。当時ISOはグローバルスタンダードとして、国際的に認知されるためには取得が必須とされ、グローバル企業は、競ってISOを認証取得したものでした。

 

 それゆえ、当時は中身はさておき、ますISOという勲章を得ることを第一義とされ、それまで各企業が積み重ねてきた業務スタンダードとは別建てでISOスタンダードなるものを作ったのでした。即ち「ダブルスタンダード」です。ですから、中身よりも形式、業務文書以外に沢山の「ISO文書」という別文書群を作りあした。こうした弊害として、多くのISO取得企業にとって、「重荷な」だけのISOとなっていたわけです。

 

 その後、ISOは、大企業に部材を提供する下請企業である中小企業にも広がりをみせ、2000年前後からそのあと数年がISO認証取得の山であったといえます。今でも新たにISOを取得する企業はあるもののとるべき企業はある一定割合まで取り尽くした感があり、以前ほどの取得ブームはありません。ただ、多くの建設業などでは、ISO認証取得のメリットを感じず、登録返上し、審査費用やその準備人件費を削減するケースも相当数でました。

 

さて、当初「ダブルスタンダード」で審査登録の苦痛を味わっていた多くのISO取得企業はその後どうなったでしょうか?私は、毎月全国のISO審査現場に参ります。ですから、その後のISO取得企業に肌で接し、その後どうなっているかを実感しています。簡単にいえば、大きく二分されるといっても過言ではありません。

 

 一つは、昔ながらに「ダブルスタンダード」もしくはそれに近い審査登録維持を目的とした企業のグループです。未だに、ISO審査前になってバタバタと前の審査以来の1年間マネジメントシステムを回してきたかのように取り繕うために、不足の書類は夜なべして作成します。ですから、付け焼き刃であり、実態は伴ってはいません。登録維持さえできれば、あとはどうでもいいというタイプです。

 

 こういった企業にありがちなのは、①できるだけ審査で不適合や改善課題を検出されたくない。社長に怒られる。②こういったマインドなので、審査対応は後ろ向きで苦痛以外の何物でもない。③だから、改善が進まない→旧態依然。という負のスパイラㇽに陥っています。

 

 もう一つの企業グループは、既に当初のISOのマネジメントシステムを業務実態に合わせて改善改良し、「シングルスタンダード」に近づけています。シングルスタンダード・・すなわち、基準が一つなのでわかりやすい。業務実態に合っている。もし、もっといい手順や、不適合・不具合を防止できる方策があったら積極的に取り入れて、PDCA(継続的改善)を繰り返しています。

 

 ですから、システムが向上する。人の意識もあがり、組織の中で情報共有が進み、もっと良い方法がないかと競って皆で考えるようになります。つまり、マネジメントシステムが腹落ちすると、「考える組織」ができるのです。審査での改善や不適合の検出課題も気まずい事ではなく、問題点こそウェルカムという姿勢になり、問題点を「改善の機会」ととらえられるようになります。

 

 マネジメントシステムというのはわかりにくく感じるかもしれませんが、要は組織が常に問題点の改善に向けて、問題発生の根本原因を考え、再発防止を行うことを繰り返し、すなわち継続的改善をする(PDCAが回るといいます。)ようになることです。これによって、システムがどんどん進化することとなります。(これを「マネジメントシステムの有効性向上」といいます。)要は、マネジメントシステムとは、問題解決のしくみづくりのことなのです。あなたの会社でも問題解決のしくみに魂をいれていきませんか?

以 上

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